Book for ADULt
最後の楽園 (さいごのらくえん) -2007年 B5、フルカラー36p
↓表紙1/表紙4。試行錯誤もありましたが、『手元に置きやすくしたかった』ので落ち着きのあるデザインで。(クリックで拡大画像)
ごあいさつ(『最後の楽園』P.4より引用)
「最後の楽園」はセピアオペラの刊行物で初のフルカラー画集となります。
今まで著してきた「枳の庭」から始まる一連の小説シリーズに登場する女性たちを描きました。作中にこうした裸身を晒す描写は一切ありませんが、四作目「四堂の家」終盤に旅行の挿話があり、その旅行での一シーン…をそれぞれのキャラクターに想定して描いたものです。
小説の方を本筋とすると、この画集はそれを補完するために少々の遊びを加えたものだと思えます。―無論、小説の方は一切知らなくとも、一毫の画集として鑑賞いただけます。経緯はともあれ、見て、何かしら感じうるものがあればそれでカタチにした意義があるはず。そう信じます。
ただし作り手の中では紆余曲折がありました。描く以上はただの裸ではなくて、とある光景にしたい。今まで物語の中で多くの喜怒哀楽や動きを与えてきたキャラクターたちなので、絵の中で話が浮かんできそうなものにしてみたかった―そして小説に書くとすれば、こんな挿絵になるように。
かつ、扇情的であるべきだ、と。作る以上はただぱらぱらと頁を繰って終わり、の画集にはしたくない。
それらの思惑から、演出のための道具として思い至ったのが「水」です。どちらも今に始まったものではありませんが、何の変哲もない裸身が水滴と光を伴うことで一層の生気を得るかに錯覚しうるのは、私にとってはある意味新鮮でした。
何はともあれ、ご覧いただけますと幸いです。
P.S.
英語の表題として"elysium"としました。おそらくは最初にして最後の「楽園」。小説の本編では決してありえない描画。
そんな思いが自分の中にあります。
以下はサンプル画像です。クリックで大きくなります(※18歳未満の方は閲覧をお控え下さい)。
<製本について>
2007.07.30追記
実物が早くも届きましたので、簡単ながらご紹介します。
表紙はアートポスト180kgのPP加工。36ページの中綴じという仕様。
見開き絵がいくつかありましたので「中綴じ」を選択しました。本文はアートコート110kg。デフォルトでこの紙厚なのですが、見開きの絵を広げやすいように、という意図からすれば、もう少し薄い紙の方が融通が利きやすかったかもという反省が早くも…。
色合いについてはご覧の通り(といっても写真ですが(´д`;))。全て想定通りでした。もう少しコントラストが出るかなという期待値もあったのですが、それは私の技術的な課題として次回以降に活かしたいかと。カラーは繊細な所を突き詰めようとすると大変難しい。一方で、データ入稿のおかげでものすごく楽に安価に早くこうした本が作れるようになったというのはありがたいことです。
これに、数量限定でオビを付けようかな、と思っています。また情報掲載します!
当初、この画集には所謂「修正」を加えるつもりはありませんでした。それは昨今の即売会での基準(コミケットアピール等)に照らし合わせても「過激な性的表現」と思しき部分はない、との思いからでした。また修正を加えることがかえって「卑猥さ
・いやらしさ」を増すという懸念もあったからでした。
しかし、昨今の情勢から印刷所様の指摘も受け、一部の描画において修正を施しました。具体的にはこのリンク先(注意:18歳未満の方の閲覧はお控え下さい)の「例」の通りです。
刊行を見合わせようかとも思いましたが、表現とは常に「解釈」と、ある一定の「制限」の中で行われる活動です。少なくとも同人出版においては。…である以上、この時期この時代の「表現」として、それをカタチにするとこうなった、というものを一つは作ってみるか、とも思ったからです。
結果、個人的には「やっぱりかえっていやらしくなった?(´д`;)」といった感があります。また、いずれは、「そういえばこうした『配慮』をしなければ本が作れない頃だったな」と笑い話にでもなれば良いなあ、とも思います。
「解釈」は購入された方々に委ねたいと思います。